煎茶の祖・茶神の売茶翁

みなさんは「売茶翁」という人物をご存知でしょうか?
江戸中期に日本で初めてカフェを開いた人物です。

最近、この元禅僧に興味津々で色々と調べております。

もともとは黄檗宗の僧だそうで、60歳を超えたある日、墜落した禅宗に見切りをつけて僧侶をやめ、場所にとらわれない売茶(カフェ)を始めたと言われています。

売茶翁(別名:高遊外)はバックパックに茶道具を詰め込んで、天気の良い日に風光明媚な場所に出かけ、大自然の中で通仙亭というカフェを開業しました。当時のお茶は薬として珍重され、身分の高い人の飲み物だったそうです。それを庶民にまで広げたのも売茶翁の功績と言われています。その素晴らしいお茶を飲みながら、禅と俗を組み合わせた講話はここ以外に聞ける場所はなく、それを聞きつけた当時の文人が次第に集まり始めたそうで、その中には当代随一の奇人画家と言われた伊藤若冲もいて、それまで誰に頼まれても一度も描くことがなかったポートレートを描き、自身を「米斗翁」と名のるようになったそうです。

この通仙亭に掲げられていたのが、「茶銭は黄金百鎰より半文銭までくれしだい。 ただにて飲むも勝手なり。ただよりほかはまけ申さず。」 (訳:お茶の代金は小判二千両から半文までいくらでもけっこう。 ただで飲んでもけっこう。ただより安くはできません。)という標語だったそうです。おしゃれすぎます。

また、売茶翁を敬愛し、肖像画を描いたのは池大雅、松平定信、田能村竹田、渡辺華山、谷文晃、富岡鉄斎など。この時代にこれほど多くの画家によって肖像画を描かれた人物は売茶翁のほかにはいないそうです。

想像ですが、この売茶翁は相当コミュニケーション能力が高く、講話も面白かったはずです。お茶がおいしいだけではこれだけの多くの文化人を魅了できません。今となってはその独特な人柄と高尚な講話を聞くことができないのはとても残念です。

この売茶翁を僧侶と呼んで良いかは分かりませんが、現代の僧侶の中から売茶翁のような人が生まれるのを望んでいます。もしそのような人が存在するなら、北海道から沖縄までどこへでも飛んで話を聞きに行きたいものです。

今でこそ定年退職後に新しく何かを始める方はいらっしゃいますが、当時60歳を超えてから、誰もやったことがないことを新しく始めるのは生半可なことではなかったと思います。本当に人生は幾つになっても遅すぎるということはないと売茶翁は教えてくれています。

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