お寺という「箱」の可能性(インバウンド編)

こんにちは、中村です。

今年の6月、ついに住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されます。
これにより観光業はどのような変化を見せるのでしょうか?

民泊新法とは?

では、一体「民泊新法」とはどのようなものなのでしょうか?
こちらのページを参照にし、簡単にまとめてみます。
※参照元 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g19305061.htm

A.「民泊」は「住宅」という位置づけ
B.宿泊日数(営業日数)は、年間で180日間以内
C.家主は都道府県知事へ届出を提出
D.管理者には国土交通大臣の登録を義務付け
E.民泊サイトは観光庁長官の登録を義務付け
F.宿泊最低日数の制限は無し
G.1人当たり3.3平方メートル以上の床面積が確保できれば、宿泊者数の制限なし

大体こんな感じでしょうか。
お寺のマーケティングなどに関わっている方達の反応(主にWEB上で)を見させて頂くと割と好反応な印象を受けます。
確かにお寺の収入手段が増えるのは良いことだと思います。

「ヤミ民泊」の横行

一方でこのようなニュースを目にしました。

大阪のホテルで平均客室単価下落 「ヤミ民泊」増え供給過剰、取り締まりは困難
http://www.sankei.com/west/news/180211/wst1802110013-n1.html

要は観光ブームで沸く大阪で民泊施設の大半は、旅館業法に基づく許可などを得ていない「ヤミ民泊」とみられる業者が横行していて、ホテル業界を圧迫しているということだそうです。尚、取り締まりが困難と言われている所以は下記の理由からだそうです。

民泊施設は「大半が違法とみられる」(大阪観光局)。厚生労働省が昨年3月に発表した調査結果では、インターネットの民泊仲介サイトから抽出した約1万5千件の施設中、合法と確認できたのは16・5%にとどまった。違法民泊を通報する大阪市の連絡窓口には平成28年10月の開設以来、4千件超の物件が通報されている。
仲介サイトの物件は、宿泊を契約しないと所在地が分からなかったり、施設の運営者が不明だったりするケースも多く、実態把握は困難だ。中国人客向けの中国語仲介サイトも多く「取り締まりは極めて困難」(三菱総合研究所の宮崎俊哉主席研究員)という。

「ヤミ民泊」が横行すると低価格化が進み、通常のホテルが価格競争に巻き込まれ経営が圧迫しているのでしょう。そうなるともちろん「宿坊」もこの競争の中で勝たなければならなくなり、顧客獲得コストは上がってしまいます。

ターゲットを変えて富裕層向けにプレゼンテーションするという方法もありますが、サービスの質の向上が必須になり、リソースとしてすでに特別な体験ができるお寺以外は難しいような気がします。交通の便の問題を含め。それともインバウンド向けのお寺という空間は、そんなにも競争力があるのでしょうか?

さて、近年世界有数の観光都市に成長した京都。
観光客は3年連続で年間5,500万人を突破しているそうです。宿泊客は1,500万人に登り、そのうち外国人宿泊数も320万人と過去最高を記録していますが、実はこの数字には民泊施設での宿泊客数は含まれていません。増大する民泊により、旅館の稼働率は著しく落ちているのが現状です。

ここで観光に詳しい、メディアクリエイターの高城剛さんのメルマガを引用します。

町家の入り口を見ればわかりますが、古い建物に不釣り合いな新型ナンバー式のオートロック装置が取り付けてあれば、まず、間違いなく不特定多数が出入りする「闇宿泊施設」で、近隣住民とトラブルも続出しています。昨年末、京都商工会議所は京都市に悪質な施設への監督・指導を強化するよう正式に求めました。

また、「民泊新法」前に、京都市は独自の条例案として、宿泊者の本人確認を行うなどの規制を実施する予定で、これにより、事業者に宿泊者名簿の備え付けを義務付けますが、市はもう一歩踏み込んで、前もって地元住民に民泊が行われる日時や緊急連絡先などを開示するよう事業者に求める意向を示しています。

しかし、このような施策が功を奏するでしょうか。

タクシー業界を見てみましょう。
現在、京都の「闇観光」でもっとも稼いでいると言われるインバウンド専用の「闇タクシー」(いわゆる白タク)は、オンライン上で決済を行うか、母国ですでに支払いを終えており、日本国内で現金の取引がないため、実態を掴めないのが現状です。京都のタクシー利用客が激減している理由は、この「闇タクシー」が増大しているからに他なりません。

日本と違い、京都に来る観光客の大半である東アジア諸国は急速に現金使用率が少なくなっており、お金の電子化が進んでいます。かつて、「京都に遊びに行くのに財布は要らない」と言われ、馴染みのお茶屋が宿泊代金から移動費、食事代にお小遣いまですべてを立て替えていたのが、京都の流儀でした。そのサービスが、諸国の電子決済の普及とともに「サービス移転」しているかのように見受けられます。もうじきすれば、海外からのゲストこそ、「京都に遊びに行くのに、財布はいらない」と考えるようになってしまうかもしれません。

政府は東京オリンピックが開催される2020年に4,000万人の訪日客誘致を目指していますが、法律や条例の整備が遅れているだけでなく、いまの日本が世界の事情に合わないことも多いため、その差を埋めるように「あたらしい闇」が勃興し、観光地はますます混乱を極めることが予測されます。
2020年に観光パニックに陥るのは、1,000万人都市東京ではなく、140万人都市京都なのです。

世界有数の観光都市・京都で、いま起きていることは今後、日本全国で起きることでしょう。時代は「反観光」に大きく舵を切るかもしれません。

キャッシュレスが進んでいるインバウンドの観光客が、オンライン決済をしようとすると日本国内で現金の取引が発生しないため実態が掴めません。つまり、「ヤミ民泊」を取り締まるのは今後も難しいと言えます。
上記でもありましたが、今後観光地は観光パニックになる事が予想されます。慣れない外国観光客の接客で疲弊していくでしょう。
そうならない為の準備が大切です。

迫り来る「観光パニック」に巻き込まれないよう、十分ご注意ください。

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